『せかいのおきく』
ストーリー紹介
江戸時代末期・江戸。
ある寺の厠の裏で、矢亮(池松壮亮)はたまった糞尿を柄杓ですくい、肥桶に注いでいる。江戸で糞尿を買い、肥料として農村に持ちかえる下肥買いの矢亮は、相方が病に臥せっており、今日はひとりだ。
その厠のひさしの下に、突然の雨を避けようと、大きな籠を抱えた男が駆け込んでくる。不要になった古紙を買い、問屋に売って暮らすその男は、紙屑買いの中次(寛一郎)。そしてその窮屈なひさしの下に、もうひとり走って入ってきたのが、寺子屋で子供たちに読み書きを教えているおきく(黒木華)だ。「ここをどいてくださいまし!」とおきくに追い立てられ、慌ててひさしの下から出ていく中次と矢亮。
3人の若者たちはこうして雨の日の厠の前で出会った。
中次は矢亮に誘われ、下肥買いの相方になり、ふたりで糞尿を買い歩いては、それを舟で矢亮の地元である葛西へ運ぶ。最下層の仕事に就く彼らは、ときに蔑みの目で見られるが、それでも明るさを忘れない。一方、武家育ちのおきくが暮らす長屋も、孫七(石橋蓮司)ら住人はみな貧しいが、その暮らしは人情味にあふれている。
長屋を担当することになった中次は、ある日、おきくの父・源兵衛(佐藤浩市)と厠で鉢合わせになる。「なあ、“せかい”って言葉、知ってるか。惚れた女ができたら言ってやんな、俺は“せかい”でいちばんお前が好きだって。これ以上の言い回しはねえんだよ」
そう言い残すと、源兵衛は侍たちと共に路地の向こうへ消えていく。そのあとを追い、長屋を駆け出ていくおきく。中次はふたりの背中を眺めるしかない。やがて侍に斬りつけられたおきくは、父と、自分の声を失ってしまう――。
映画情報
出演:黒木華 寛一郎 池松壮亮 眞木蔵人 佐藤浩市 石橋蓮司
脚本・監督:阪本順治
制作:近藤純代 企画・プロデューサー:原田満生 音楽:安川午朗 音楽プロデューサー:津島玄一
撮影:笠松則通 照明:杉本崇 録音:志満順一 美術:原田満生 美術プロデューサー:堀明元紀
装飾:極並浩史 小道具:井上充
編集:早野亮 VFX:西尾健太郎 衣装:大塚満
床山・メイク:山下みどり 結髪:松浦真理
マリン統括ディレクター:中村勝 助監督:小野寺昭洋
ラインプロデューサー:松田憲一良 バイオエコノミー監修:藤島義之 五十嵐圭日子
製作:FANTASIA Inc./YOIHI PROJECT 制作プロダクション:ACCA
制作・配給:東京テアトル/U-NEXT/リトルモア
(C)2023 FANTASIA
公式サイト:sekainookiku.jp/
公式Twitter